東町漁協の魚

タコつぼ漁業体験

「地タコの産地・東町漁協」の魅力をご紹介

御協力してもらった
浜夫妻と息子の真澄さん

とっても美味しい
「タコの塩ゆで」

タコつぼの目印「ウキ」

ロープをたぐり寄せる浜さん

海中のタコつぼ

つぼを素早く手慣れた手つきでひっくり返す

念願のタコ獲得

甲板にひっくり返されたタコ

東町漁協と言えば、ブリ。しかし、東町漁協は知る人ぞ知る「おいしい地タコの産地」でもあるという。
「でも、タコってどうやって採るの?」。
というわけで、東町屈指のタコ取り名人・浜義秋さんに密着取材。タコやタコつぼ漁業の魅力を聞いた。

浜さん宅に到着したのが、ちょうどお昼。妻のミチエさんが魚料理の数々を準備して待っていた。新鮮なカワハギの刺し身に天ぷら、煮物、なますにキモ…。
その中で一番目を引いたのが「タコの塩ゆで」。きれいな赤紫色が食欲をそそる。
まずは一口。
「やわらかあ〜い」。思わずうっとり。このやわらかさは一体何なんだ!! ほどよい塩味も口の中にやさしく広がる。単純にうまい!! こんなおいしいタコの取り方を見せてもらうため、浜さんと漁場へ出掛けた。

浜さんの漁場は、自宅近くの塩追漁港から5〜10分の場所にある。
浜さんが行っているのは、東町漁協では主流のタコつぼ漁業タコが穴に潜む性質を利用し、タコつぼを海中に沈めて引き揚げるというものだ。
浜さんは5つの場所に分け、長さ20mのロープに結んだ62個のタコつぼをそれぞれ海底に沈めている。夏場は毎日、それ以外は2〜3日おきにタコつぼを引き揚げる。

海中に沈んだタコつぼの目印となる浮きが、どんどん近づいていきた。浜さんは見事なハンドルさばきで船を浮きへと寄せ、ロープをたぐり寄せる。
「もしかして、手で引き揚げるの?」という問いに、「昔はそうだったけれど、今は機械で簡単にできるんだよ」と浜さん。船の先端についた巻揚機のローラーにロープをかけ、スイッチオン。
透き通った海中から、素焼きのつぼがぐんぐん上がってくる。
「入ってないなあ」と浜さんの残念そうな声。
海中を見ているだけで、どうして分かるんだろう?
「タコが入っていないときは、つぼの底の穴から海水が泡となって出てくるんだよ」。
なるほど、納得。

浜さんは上がってきたつぼを素早くつかんでひっくり返し、再び海中へ。
「タコだと思って喜んでつぼを引き揚げたら、泥や石ころだったなんてことも。でも、次は大きいタコが入っていると考えるだけで、ワクワクするよ」と浜さん。
夏場の多いときでは、一つのロープで10数個が取れ、時には1kgを超える大物に出合うことも。
「そんなときは、うれしくてね。帰って、母ちゃんに自慢するんだ」。

 10分後、ようやく念願のタコ入りつぼが上がってきた。甲板につぼをひっくり返すと、タコがゆっくりと落ちる。そして、ピタッと甲板にはりつく。「おっ、デカイ。タコって黒っぽいものなんだなあ。しかも、不思議な色と模様をしている」。浜さんは観察中のタコを船のいけすに素早く放り込み、再びタコつぼの引き揚げ作業を始める。引き揚げにかかる時間は約20分。終わると次の場所へと移動する。

「今日は小潮だから、全然だめだなあ」と浜さん。一番よく取れるのは、小潮と大潮の間ぐらいで、北風が良いのだとか。えさが豊富にある岩場や砂地の近くもよく取れるという。「よく入るつぼと、全然入らないつぼがある。タコはきれい好きだから、汚れたつぼには絶対入らない。特にフジツボは大敵。数カ月ごとに掃除するんだよ。でも、これが結構大変」と笑う。

浜さんがタコつぼ漁業を始めたのは40年前。 当初はわらにつぼを結び、漁場に沈めていた。「昔は一人が舵を取り、もう一人がつぼを引き揚げていた。お互いの息が合わないと、方向が定まらず、つぼもうまく上がらない。父ちゃんと年中ケンカよ。今は自動操縦で機械もあるから、父ちゃんも私に気兼ねなく漁に専念できる」と笑うミチエさん。息子の真澄さんも「高校生のとき、よく母と二人でタコつぼ漁に出掛けた。あるとき、バイクの鍵を落としてね。慌てて海に潜ったことがあった」。

昔は一回の漁で100kgほど取れたが、最近は多くてもその半分だという。東町では平成7年からタコの産卵期の9月と10月は禁漁期となり、平成9年からタコつぼ産卵調査を実施している。「タコの卵は真っ白で本当にきれいなんだよ。卵を生んだタコはすべての栄養を卵に上げるんだろうね。生んだあとはパサパサになって死ぬんだ。生命の神秘ってこういうのを言うんだろうね」と感慨深げな浜さん。禁漁期を実施してから、漁獲量が戻ったとも言われている。「タコがたくさん取れるとやっぱりうれしい。でも、そのためには、卵は取らないなど、みんなで協力し合わないと。体が続く限り、タコつぼ漁を続けたい」。タコ取り名人と呼ばれる由縁は、タコへの熱い思いなのかもしれない。

浜 義秋(はま・よしあき)さん
[PROFILE]
タコつぼ漁業のほか、アマナツなども栽培。「半農半漁だよ」と笑う陽気なお父さん。妻のミチエさんとは結婚して57年。「私は昭和生まれだけど、母ちゃんは大正生まれ。本当は同学年なんだけどね」。
東町川床出身の75歳。